空き家の買取と仲介の違いは?売却方法を選ぶ比較表と見積もり確認手順

空き家の売却方法は、価格だけでなく、売却時期の決めやすさ、販売活動の有無、荷物や修繕の条件、売主に残る対応を同じ表で比べて選びます。不動産会社が買主になる「買取」は条件と日程を合意しやすく、買主を探す「仲介」は市場へ広く売り出せる一方、成約時期や最終条件は買主が見つかるまで確定しません。

ただし、「買取なら必ず早い・安い」「仲介なら必ず高く売れる」とは限りません。査定額や提示価格だけを並べず、手数料、測量・片付け・解体などの負担、引渡し後の責任、入金時期まで含む手取りと条件で比較してください。

30秒で分かる結論

  • 買取は不動産会社が買主、仲介は不動産会社に買主探しを依頼する方法
  • 買取は提示条件に合意できれば日程を組みやすいが、見積書の除外費用や引渡条件まで確認する
  • 仲介は販売活動を行えるが、売出価格は成約価格ではなく、売却時期も確約されない
  • 同じ物件状態・引渡時期・荷物の条件で複数社へ依頼し、最終的な手取りを比べる

この記事では、相続した実家や使っていない空き家を売りたい人に向けて、買取と仲介の違い、向いている状況、見積書のそろえ方、契約前の確認順を整理します。

空き家の買取と仲介は何が違う?

違いの中心は、不動産会社が買主になるか、売主と買主の間に入るかです。

買取では、不動産会社が物件を調べ、購入価格と条件を提示します。売主が合意すれば、その会社との売買契約へ進みます。国土交通省は「買取再販」を、宅地建物取引業者が既存住宅を取得し、一定の改修後に再販する仕組みとして説明しています。ただし、すべての買取会社が改修して再販するとは限らず、事業の方法や提示条件は会社ごとに異なります。

仲介では、売主が宅地建物取引業者と媒介契約を結び、価格査定、販売活動、購入希望者との調整、契約手続きの支援などを依頼します。国土交通省は、媒介契約を「売買の仲介を依頼する不動産業者との契約」と案内しています。売出価格を決めても、その価格と時期で成約することが保証されるわけではありません。

比較項目 買取 仲介
買主 不動産会社 販売活動で探す個人・法人など
価格の見方 会社の購入提示額と条件を確認 査定額、売出価格、成約見込みを分けて確認
日程 提示条件へ合意後、引渡日を調整 買主が見つかり、条件が整ってから確定
販売活動 通常は一般向けの販売期間を設けず会社へ売る 広告、内覧、条件交渉などを行う
仲介手数料 買主である会社との直接取引なら通常は媒介報酬の対象外。別の仲介会社が入る場合は要確認 媒介契約と成約に基づき、上限の範囲で合意した額を確認
確認の重点 提示額に含まれない費用、荷物、測量、解体、引渡し後の責任 査定根拠、販売方法、報告、値下げ判断、媒介契約の種類

つまり、日程を先に固めたい場合は買取を比較しやすく、市場へ売り出して買主を探す余地を持ちたい場合は仲介を検討しやすいといえます。どちらも契約条件で結果が変わるため、方法名だけで決めないことが大切です。

買取と仲介のどちらが自分の実家に向く?

「高く売りたいか、早く売りたいか」だけでなく、家の状態と家族が対応できる範囲で判断します。

買取を比較しやすい状況

  • 転居、施設費、相続人間の予定などから、希望する引渡時期がある
  • 遠方にあり、内覧のたびに鍵の手配や現地対応を続けるのが難しい
  • 荷物、傷み、未登記部分、境界など、現状のまま扱える範囲を先に確認したい
  • 販売期間中の管理や近隣対応を長く続けにくい

仲介を比較しやすい状況

  • 売却時期に一定の余裕があり、販売活動の経過を見ながら判断できる
  • 内覧、片付け、書類準備、条件交渉に対応できる
  • 周辺の成約事例や物件の特徴を踏まえ、市場で買主を探したい
  • 売れない場合の値下げ、買取への切り替え、売却中止の基準を家族で決められる

相続人が複数いる、名義が故人のまま、土地の境界が不明、農地や未登記建物を含むなどの場合は、買取でも仲介でも確認が省略されるわけではありません。契約方法を選ぶ前に、名義・対象不動産・家族の合意・必要書類を整理します。

買取価格と仲介の査定額はどう比べる?

同じ意味の数字ではないため、査定額や提示額の大きさだけでは比較できません。

買取の提示額は、不動産会社が買主として出す購入条件です。一方、仲介の査定額は販売開始価格や成約価格を保証する数字ではありません。査定の前提、想定する販売期間、価格を見直す条件、似た物件の根拠を確認してください。

比べるときは、各社へ同じ条件を伝えます。

  • 土地・建物の登記情報と、分かっている増改築・未登記部分
  • 荷物を残すか、売主が片付けるか
  • 測量、境界確認、建物調査、解体を誰が手配・負担するか
  • 希望する契約日、引渡日、代金受領日
  • 雨漏り、設備故障、越境、近隣との取り決めなど把握している状態
  • 売主が引渡し後に負う責任の範囲と期間
空き家の買取提示と仲介査定を同じ条件で比較する所有者と不動産担当者のイラスト
金額だけでなく、荷物・測量・引渡日・売主の責任を同じ条件にそろえて比較します(イメージ)。

見積書では何の条件をそろえる?

比較表を1枚作り、各社の回答が空欄のままになっていないかを確認します。

確認欄 買取で聞くこと 仲介で聞くこと
金額 購入提示額、有効期限、減額になる条件 査定額の根拠、売出価格案、価格見直しの基準
費用 別途負担する調査・測量・片付け・解体等 仲介手数料、広告等の別費用が生じる条件
荷物・建物 残置物や故障を現状のまま扱える範囲 内覧前に必要な整理、売却条件へ反映する事項
日程 契約・決済・引渡しの候補日と前提条件 販売開始、報告頻度、見直し時期
契約後 解除条件、引渡し後の責任、必要書類 申込み後の条件交渉、解除条件、引渡し後の責任

低額の空き家を仲介で売る場合は、仲介手数料の特例にも注意が必要です。国土交通省によると、2024年7月1日以降、売買価格が800万円以下の宅地・建物は「低廉な空家等」の特例対象となり、依頼者一方から受け取れる仲介手数料の上限は税込33万円です。これは自動的に請求される定額ではありません。媒介契約の締結時に、上限の範囲で説明を受け、金額を合意します。

買取会社が直接の買主であれば、通常はその会社への仲介手数料は生じません。ただし、別会社が売主と買取会社を仲介する契約や、周辺業務を別契約にする場合があります。「買取だから費用はゼロ」と決めつけず、誰に何の名目で支払うかを見積書と契約書で確認してください。

契約前に注意する点と例外は?

現状の説明と契約条件を曖昧にせず、分からない点は「不明」として確認先を決めます。

  • 荷物:残してよい物、売主が撤去する物、処分費の負担を一覧にする
  • 境界・越境:測量や隣地確認が必要か、誰が手配するかを確認する
  • 建物状態:雨漏り、シロアリ、設備故障、増改築など、把握している事実を伝える
  • 契約不適合責任:免責・範囲・期間を一律と考えず、契約書の条項を確認する
  • 解除条件:手付、融資、相続登記、残代金、引渡し未了時の扱いを確認する
  • 所有者と同意:共有者や相続人がいる場合は、売却できる名義と意思確認を先に整理する

「現状のまま買う」という説明だけでは、荷物、境界、設備、契約後の責任まで含むか分かりません。口頭説明で済ませず、対象範囲を契約書や付属書面に反映してもらいます。個別の登記、遺産分割、税務、契約解釈は、司法書士、税理士、弁護士など適切な専門家へ確認してください。

空き家売却前に外壁や基礎と敷地境界を確認する所有者と不動産担当者のイラスト
把握している建物状態と敷地条件を共有し、調査・修繕・引渡しの担当を明確にします(イメージ)。

依頼する不動産会社はどう確認する?

会社名だけで決めず、宅建業免許、担当者の説明、書面、過去の行政処分情報を確認します。

国土交通省は、宅地・建物の売買や媒介を業として行うには、国土交通大臣または都道府県知事の宅地建物取引業免許が必要と案内しています。企業情報検索システムで免許の有無や免許行政庁を確認でき、ネガティブ情報等検索サイトでは最近5年分の行政処分等情報を確認できます。ただし、後者は全都道府県の情報を網羅していないため、必要に応じて免許行政庁へ確認します。

仲介で専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶ場合は、レインズへの登録、登録証明書の交付、定期的な業務状況の報告が宅建業者に義務付けられています。登録証明書を受け取り、販売状況を確認できるようにしてください。

会社へ確認する質問

  • 買取会社自身が買主か、別の仲介会社が入るか
  • 査定・提示の根拠と、有効期限・減額条件は何か
  • 売主が別途負担する作業と費用は何か
  • 担当者の説明と契約書の内容が一致しているか
  • 契約を急ぐ理由を示された場合、持ち帰って比較できるか

今日やること

まず、登記事項証明書、固定資産税の課税明細、分かる範囲の図面、鍵、建物の不具合メモ、荷物の写真を1か所へ集めます。次に、買取と仲介の両方を扱う会社を含めて複数社へ、同じ物件状態と希望日を伝えてください。

回答は「価格」「別費用」「荷物」「測量・解体」「契約日」「引渡日」「売主の責任」の7欄で並べます。家族で決めるときは、最も高い数字ではなく、条件を確認した後の手取りと負担で候補を絞ります。

売却前の荷物整理が止まっている場合は、実家を売る前の片付けはどこまで必要かを先に確認してください。売る以外の方法も含めて迷っている場合は、親記事の空き家を売る・貸す・解体・保有する判断順序へ戻ると、選択肢を整理できます。

空き家の売り方と確認順を整理したい方へ

所在地、名義、建物状態、荷物、希望時期をもとに、買取・仲介を比べる前に確認したい項目を整理します。

3分で実家の状況を整理して無料相談する


不動産分野監修:山崎 亮(宅地建物取引士・東京都登録)
監修範囲は、不動産売買・仲介・査定・空き家売却に関する一般的な説明です。登記・税務・法律の個別判断は監修範囲に含みません。

※本記事は2026年7月23日時点の公的一次情報に基づく一般的な情報です。査定額、売買条件、必要な調査、費用、契約上の責任は物件と契約により個別に異なります。売却方法や価格を保証するものではありません。登記・遺産分割・税務・契約解釈の個別判断は、司法書士、税理士、弁護士等の適切な専門家へご確認ください。制度や公的ページは改正・更新される可能性があります。

出典・情報基準日・最終確認日(2026年7月23日)
国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
国土交通省「不動産流通について」
国土交通省「宅地建物取引の免許について」
国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト(宅地建物取引業者)」
国土交通省「物件の売主の皆様へ レインズのステータス管理機能」
国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」

実家どうする編集部

不動産分野監修

山崎 亮

宅地建物取引士(東京都登録)

不動産売買・仲介、実家や空き家の処分判断に関する記述を確認します。登記・税務・法律の個別判断は、司法書士・税理士・弁護士等の確認範囲です。

監修者情報と監修範囲を見る →

自分の場合の選択肢を整理したい方へ

方針が決まっていなくても問題ありません。現在の状況から、次に確認することを一緒に整理します。

無料で相談する