相続した実家の売却査定で必要なものは?書類の集め方と依頼前チェック

相続した実家の売却査定は、書類をすべて集め終わるまで待つ必要はありません。まず所在地、現在の名義、土地・建物の範囲、利用状況、分かっている不具合を整理し、手元にある書類を不動産会社へ伝えます。足りない書類は、査定結果と売却方法を確認しながら順番に集めれば進められます。

ただし、査定を始める段階と、媒介契約・売買契約へ進む段階では必要な情報が異なります。最初から権利証や本人確認書類の原本を持ち歩くのではなく、何の確認に使う書類かを分け、原本は手元で管理することが大切です。

30秒で分かる結論

  • 最初の相談は、所在地・名義・土地建物の概要・現況・希望時期が分かれば始められる
  • 固定資産税の課税明細、登記情報、図面、購入時資料、修繕記録は「あるものから」そろえる
  • 訪問査定では、鍵、荷物、雨漏りなどの不具合、境界・越境、増改築の情報も共有する
  • 査定額を比べるときは、各社へ同じ物件状態と売却条件を伝え、金額の根拠を確認する

この記事では、親から相続した実家の査定を依頼したい人に向けて、査定開始前、現地確認、媒介契約以降の3段階で、用意したい書類と確認順を整理します。書類の名称や必要範囲は、物件、登記状況、依頼先、取引条件により異なるため、最終的には依頼する不動産会社や司法書士等の案内を確認してください。

実家の売却査定は書類が全部なくても始められる?

最初の相談や机上査定は、物件を特定できる情報と、分かる範囲の現況から始められます。

不動産会社が価格の見立てを作るには、所在地、土地・建物の面積、築年、道路との接し方、利用状況、建物状態などが必要です。書類が見当たらない場合は「ない」と伝え、会社側が何を調べられるか、所有者側で何を取得する必要があるかを確認します。

査定前に、次の項目を1枚へまとめておくと説明がぶれにくくなります。

  • 実家の所在地と、土地・建物の数
  • 登記上の名義が、親・相続人・共有者の誰になっているか
  • 空き家になった時期と、現在の管理状況
  • 建物のおおよその築年、増改築、修繕履歴
  • 雨漏り、傾き、設備故障、シロアリなど把握している状態
  • 荷物、庭木、物置、車庫、未登記と思われる建物の有無
  • 売却したい時期と、家族・共有者の意向

分からない項目を推測で埋める必要はありません。「未確認」と書き、現地確認や公的書類で確かめる項目にします。

査定依頼前に集めたい書類は何?

書類は、物件の特定、権利関係、建物状態、費用の手掛かりの4つに分けると探しやすくなります。

書類・情報 主な確認目的 最初の査定での扱い
固定資産税の納税通知書・課税明細 土地・建物、所在地、面積、評価額等の手掛かり 手元にあれば共有。これだけで権利関係を確定しない
登記事項証明書・登記情報 登記名義、地番・家屋番号、面積、権利の記録 現在の記録を確認する資料。古い写しは取得日も伝える
公図・地積測量図・建物図面 土地や建物の形、位置、測量記録の手掛かり 存在しない場合や現況と異なる場合もあるため要確認
購入時の売買契約書・重要事項説明書 購入時の条件、取得費、当時の物件説明 見つかれば保管。税務資料にもなり得るため捨てない
建築確認、検査済証、設計図、修繕記録 建物の計画、工事、増改築、修繕の履歴 あるものを一覧化し、現況との違いを伝える
境界確認書・測量図・越境の合意書 境界や隣地との取り決め 有無を伝え、再測量や隣地確認が必要か相談する
相続関係の書類 誰が相続し、売却判断に関わるかの確認 個別判断をせず、必要範囲を司法書士等へ確認する

この表は「査定の必須書類一覧」ではありません。物件や会社によっては、住所と現況だけで机上査定を始め、訪問査定や媒介契約の前に追加資料を確認します。依頼先へ「今ある書類」「見当たらない書類」「取得が必要と言われた書類」を分けて伝えてください。

実家の売却査定前に図面、鍵、記録用ノートを整理した机上のイメージ
査定書類は、物件の特定・権利関係・建物状態・費用の手掛かりに分けて整理します(イメージ)。

訪問査定までに何を確認する?

訪問査定では、書類だけでなく、現地へ入れることと、把握している状態を隠さず伝えることが重要です。

  1. 鍵と立入り方法を決める
    誰が開錠するか、遠方の場合は鍵をどう受け渡すかを決めます。
  2. 敷地と建物の対象範囲を確認する
    母屋だけでなく、物置、車庫、私道持分、別の土地が含まれないかを確認します。
  3. 不具合と修繕履歴をメモする
    雨漏り、給排水、設備停止、害虫、傾き、近隣との取り決めなど、分かる事実を書き出します。
  4. 荷物を無理に捨てない
    査定前に家を空にする必要があるか、残したまま売る選択肢があるかを先に聞きます。
  5. 同じ条件を各社へ伝える
    引渡時期、荷物、測量・解体の希望をそろえ、査定条件の違いを減らします。
相続した実家の外壁や屋根を所有者と不動産担当者が査定前に確認する様子
書類と現況が一致するとは限りません。建物、付属物、境界、荷物を現地で確認します(イメージ)。

片付けが終わっていなくても、状態を伝えたうえで査定できる場合があります。先に大量処分を始めず、実家を売る前の片付けはどこまで必要かを確認し、査定・内覧・引渡しのどの段階で何を動かすかを分けてください。

名義や親の所有不動産が分からない場合は?

固定資産税の書類や古い権利証だけで判断せず、現在の登記記録と相続対象の範囲を確認します。

法務局では、土地・建物の登記事項証明書、地図証明書、地積測量図、建物図面等を窓口やオンライン請求で取得できます。地番や家屋番号が分からない場合は、納税通知書等を手掛かりにしつつ、管轄の法務局や不動産会社へ確認方法を相談します。

また、2026年2月2日に始まった「所有不動産記録証明制度」では、所有者本人や相続人等の請求により、特定の人が登記名義人として記録されている不動産を一覧化して証明する仕組みが用意されています。ただし、検索条件や請求資格があり、未登記の建物を発見する制度ではありません。相続登記そのものを代替する手続きでもないため、対象不動産の把握に使えるかを法務局へ確認してください。

実家の名義が故人のままの場合は、査定を取ることと、実際に売買契約・所有権移転へ進むことを分けて考えます。期限と確認順は、相続した実家の名義変更をしないとどうなるかで整理しています。遺産分割、相続人の範囲、登記申請の個別判断は司法書士等へ確認してください。

複数社の査定はどう比べる?

査定額だけでなく、価格の根拠、前提条件、売り方、売主が負担する作業を同じ表で比べます。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格、成約価格、地価公示、防災、都市計画などの情報を確認できます。周辺の価格情報は査定の参考になりますが、道路条件、土地形状、建物状態、時期が異なるため、近隣事例の単価をそのまま自宅へ当てはめることはできません。

比較欄 各社へ確認すること
査定額 どの事例と物件条件を根拠にしたか
売出価格 査定額との違い、見直す時期と条件
売却方法 仲介・買取のどちらを想定し、買主をどう探すか
売主の準備 片付け、測量、修繕、解体、書類取得を誰が行うか
費用 仲介手数料以外に発生し得る費用と条件
日程 販売開始、報告、価格見直し、契約・引渡しの見込み

仲介と買取の数字は意味が違います。買取は不動産会社が買主として示す購入条件、仲介の査定額は市場へ売り出す際の見立てです。違いは空き家の買取と仲介を同じ条件で比べる手順で確認できます。

媒介契約を結んだ後も、専任媒介・専属専任媒介ではレインズへの登録や売主への報告等のルールがあります。査定時点で「高い価格を出した会社」だけを選ばず、販売方針、報告方法、価格見直しの考え方を確認します。

査定書類を渡すときの注意点は?

利用目的と必要範囲を確認し、原本や個人情報を必要以上に渡さないようにします。

  • 最初の相談で必要な書類と、媒介契約・売買契約時に必要な書類を分ける
  • 権利証・登記識別情報、本人確認書類、印鑑証明書等の原本を預ける前に目的を確認する
  • メールやフォームへ送る場合は、送信先、保管方法、不要部分を伏せてよいかを確認する
  • 複数社へ渡す資料は一覧にし、返却・破棄の扱いを記録する
  • 書類の不足を理由に契約を急がず、取得先と期限を確認する

宅地・建物の売買や媒介を業として行う会社は宅地建物取引業免許が必要です。国土交通省や都道府県の案内で免許を確認し、会社名、担当者、説明書面、送付先が一致しているかを確かめてください。

今日やること

まず10分で、次の3つだけ進めます。

  1. 固定資産税の封筒、登記関係、購入時資料、図面、修繕記録を1か所へ集める
  2. 「ある・ない・不明」の3列で書類一覧を作る
  3. 所在地、名義、空き家期間、荷物、不具合、希望時期を1枚へ書く

書類が不足していても、不動産会社へ「査定開始に必要な最低限」「訪問査定まで」「媒介契約まで」の3段階でリストを出してもらえば、取り寄せの優先順位を決められます。売るか貸すか、解体するかも決まっていない場合は、親記事の空き家を売る・貸す・解体・保有する判断順序へ戻り、先に家族の希望を整理してください。

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不動産分野監修:山崎 亮(宅地建物取引士・東京都登録)
監修範囲は、不動産売却の査定、媒介、物件情報・現況確認に関する一般的な説明です。相続登記、遺産分割、税務、契約解釈の個別判断は監修範囲に含みません。

※本記事は2026年7月27日時点の公的一次情報に基づく一般的な情報です。査定や取引に必要な書類、本人確認、測量、登記、契約手続きは、物件、名義、依頼先、契約条件により個別に異なります。査定額や売却結果を保証するものではありません。相続登記、遺産分割、税務、契約解釈の個別判断は、司法書士、税理士、弁護士等の適切な専門家へご確認ください。

出典・情報基準日・最終確認日(2026年7月27日)
登記・供託オンライン申請システム「不動産登記手続」
法務省「所有不動産記録証明制度について」
国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
国土交通省「不動産情報ライブラリ」
国土交通省「物件の売主の皆様へ レインズのステータス管理機能」
国土交通省「宅地建物取引の免許について」

実家どうする編集部

不動産分野監修

山崎 亮

宅地建物取引士(東京都登録)

不動産売買・仲介、実家や空き家の処分判断に関する記述を確認します。登記・税務・法律の個別判断は、司法書士・税理士・弁護士等の確認範囲です。

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