実家は解体してから売る?古家付きで売る?3つの売り方と決める順番

実家は、売却前に必ず解体する必要はありません。古家付きのまま売る、解体して更地で売る、古家付きで契約して引渡しまでまたは引渡し後に解体するという3案を、建物の利用可能性、売却条件、解体見積り、税制・登記の順に比べてから決めます。

30秒で分かる結論

  • 査定と解体見積りを取る前に壊すと、建物を使いたい買主や契約後解体という選択肢を戻せない
  • 売却価格だけでなく、解体・残置物処分・整地の負担と、売却までの管理負担を同じ条件で比べる
  • 更地にすると住宅用地特例の扱いが変わり得る。相続空き家の譲渡所得の特例も要件確認が必要
  • 今日やることは、現況の写真と登記事項、査定依頼先、解体見積り先を1枚に整理すること

この記事は、相続した古い実家を売りたいものの、先に解体すべきか迷っている人向けです。個別の売却条件、税務、登記、建築可否は物件ごとに異なるため、不動産会社、自治体、税務署・税理士、法務局・土地家屋調査士などへ確認してください。

解体前に比べる3つの売り方

選択肢は「残すか壊すか」の2つだけではありません。売買契約が成立してから解体の時期と負担者を決める案も含め、3案で比べると判断しやすくなります。

売り方 向く可能性がある状況 契約前に確認すること
古家付きのまま売る 建物を使いたい需要がある、先に解体費を負担しにくい、まず市場の反応を見たい 建物の状態、告知事項、設備・残置物、引渡し条件
先に解体して更地で売る 建物の再利用が難しく、土地としての需要を見込める、工事と整地を先に管理できる 解体範囲、見積り、工期、税制、滅失登記、売却見通し
契約後に解体する 買主の条件を確認してから壊したい、引渡し条件を契約で具体化できる 負担者、完了期限、残置物・地中物、引渡し状態、税制上の期限

3つ目は、売主が引渡し前に解体する場合と、引渡し後に買主が解体する場合に分かれます。誰が費用と手配を負い、どの状態で引き渡すかを売買契約に明記できるかが前提です。口頭の合意だけで進めず、個別の契約内容は宅地建物取引士や必要に応じて弁護士へ確認します。

古い実家が残る土地と更地になった住宅用地を並べて比較する景観

最初に建物と土地の条件を確認する

最初の確認は、建物を壊した後では戻せない情報です。建物の利用可能性と、土地に新しい建物を建てられる条件を確認する前に解体を決めないことが基本です。

  • 建物:構造、築年、増改築、雨漏り・傾き・腐食、設備、残置物、耐震性に関する資料
  • 権利:土地・建物の名義、共有者、相続登記、抵当権などの登記情報
  • 土地:接道、境界、越境、擁壁、高低差、上下水道、再建築に関する条件
  • 周辺需要:中古住宅としての需要、土地としての需要、想定する買主

「古いから価値はゼロ」「更地なら売りやすい」と一律には決められません。古い建物でも利用を希望する買主がいる一方、土地の条件によっては解体後の活用が想定どおり進まないことがあります。建築可否は広告や口頭説明だけで判断せず、自治体の建築担当窓口や専門家で確認してください。

古家付きと更地は何を比べる?

比べるのは査定額だけではありません。売却までに手元から出る費用、時間、管理、契約条件まで同じ表に入れます。

比較項目 古家付き 解体して更地
売却前の支出 管理・安全確保・必要な片付けを確認 解体、分別・処分、整地、付帯工事を見積り
買主の選択肢 利用・改修・解体を買主が検討できる 土地利用を前提に検討しやすい場合がある
売却中の管理 建物と敷地の管理が続く 更地の草木・排水・侵入対策などを確認
契約条件 建物の状態、残置物、設備、引渡し条件を整理 解体範囲、地中物、境界、整地状態を整理
税・登記 相続空き家の特例などの要件を確認 住宅用地特例、滅失登記、譲渡特例の要件を確認

不動産会社には、古家付きの現況と、解体後の更地という同じ基準日・同じ売却期間の想定で説明を求めます。解体会社には、建物本体だけでなく、門・塀・庭木・物置・浄化槽などの付帯物、残置物、整地、追加費用が生じる条件を見積書で分けてもらいます。

税制と滅失登記で確認すること

解体時期は税制と登記に影響するため、契約前に確認します。税額や特例の利用可否は個別事情で変わるので、記事だけで判断しないでください。

国土交通省は、住宅を解体して更地にした場合、土地に対する固定資産税などの住宅用地特例が解除され、税額が上がると案内しています。一方、管理不全空家や特定空家に対する勧告を受けた場合なども、住宅用地特例の対象外になり得ます。「税負担を抑えるために危険な建物を残す」という判断はせず、賦課期日と自治体の扱いを市区町村へ確認します。

相続した一定の空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除する特例があります。国土交通省と国税庁によると、適用期間、家屋・相続人・売却額・売却時期など複数の要件があり、相続人が3人以上の場合の控除上限も異なります。2024年1月1日以降の一定の譲渡では、譲渡後、譲渡日の属する年の翌年2月15日までに買主が家屋を取り壊した場合も対象になり得ますが、買主の協力や確認書類を含む他の要件も必要です。適用可否は税務署または税理士へ確認してください。

登記されている建物を解体したときは、解体完了後1か月以内に建物滅失登記を申請する必要があります。未登記家屋でも自治体への家屋滅失の届出が必要になる場合があります。申請者、必要書類、未登記・共有・相続未了の場合の進め方は、法務局、自治体、土地家屋調査士などへ確認します。

解体を決めるまでの手順

判断は、物件情報をそろえたうえで、売却と解体を並行して見積もる順番が安全です。

  1. 名義と現況をそろえる:登記事項、固定資産税の課税明細、図面、修繕履歴、現地写真を集める
  2. 建物を残す価値と土地条件を確認する:中古利用の可能性、接道・境界・再建築条件を確認する
  3. 売却方法ごとの査定を依頼する:古家付き、先行解体、契約後解体の見通しと前提を複数社に聞く
  4. 解体見積りの範囲をそろえる:本体、付帯物、残置物、整地、追加費用の条件を分ける
  5. 税制・登記・補助制度を確認する:契約日、解体日、引渡し日より前に窓口へ確認する
  6. 家族と契約条件を決める:費用負担、売却期限、最低限残したい条件、工事後の手続きを共有する
実家の模型と安全帽、鍵、建材見本を並べて解体前の確認事項を整理する机

査定前に集める資料は、相続した実家の売却査定で必要なもので整理しています。早さを優先して買取も検討する場合は、空き家の買取と仲介の比較も確認してください。

先に壊すと戻せない確認事項

解体後に建物を元へ戻すことはできません。少なくとも次の項目が未確認なら、工事契約を急がず確認先を分けます。

工事契約前の確認リスト

  • 共有者・相続人を含む、解体と売却の意思決定者
  • 再利用・改修を望む買主の可能性と、土地としての売却見通し
  • 接道、境界、越境、擁壁、再建築に関する条件
  • 解体会社の建設業許可または解体工事業登録、契約書、保険
  • 建物本体、付帯物、残置物、整地、地中物の負担区分
  • 固定資産税等、譲渡所得の特例、補助制度の申請時期
  • 工事後の滅失登記・自治体届出と、書類を保管する人

国土交通省は、解体工事を依頼する際、建設業法の許可事業者または建設リサイクル法の登録事業者へ発注し、複数見積りと書面契約を勧めています。許可・登録の対象や工事の届出、石綿の事前調査などは工事内容で異なるため、事業者と自治体へ確認してください。

今日やること

今日の一歩は、解体契約ではなく比較材料をそろえることです。

  1. 土地・建物の登記事項と固定資産税の課税明細を探す
  2. 建物の外観、室内、塀、庭、残置物を安全な範囲で撮影する
  3. 古家付き・先行解体・契約後解体の3案を説明できる不動産会社を探す
  4. 同じ解体範囲で複数の見積りを依頼する準備をする
  5. 税務、登記、再建築条件を確認する窓口を書き出す

実家を売る、貸す、管理する、解体するという選択肢全体から整理したい場合は、親記事の誰も住まない実家をどうするかの判断ガイドへ戻ってください。

解体を決める前に、状況を整理したい方へ

名義、建物状態、家族の意向、希望時期を整理し、次に確認する相手を決めたい場合は、3分でできる実家・空き家の無料相談をご利用ください。個別の税務・登記・法律判断は、適切な専門家への確認が必要です。

不動産分野監修:山崎 亮(宅地建物取引士・東京都登録)
監修範囲は、空き家の解体・売却方法、査定、契約前の一般的な不動産実務上の確認事項です。税制、登記、建築可否、法律の個別判断は監修範囲に含みません。


この記事は一般的な情報の整理を目的としています。売却条件、解体工事、税額、特例、登記、建築可否、自治体の運用は物件と地域で異なります。最新情報と個別の適用は、不動産会社、自治体、税務署・税理士、法務局・土地家屋調査士、弁護士などへ確認してください。

情報基準日:2026年8月4日/最終確認日:2026年8月4日

出典:国土交通省「住まいを解体するときは」国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」国土交通省「空き家を放置すると固定資産税が高くなる?」国税庁「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」

実家どうする編集部

不動産分野監修

山崎 亮

宅地建物取引士(東京都登録)

不動産売買・仲介、実家や空き家の処分判断に関する記述を確認します。登記・税務・法律の個別判断は、司法書士・税理士・弁護士等の確認範囲です。

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